パラレルですよ~ 大丈夫な方はスクロール
泡と一緒に弾けちゃってさ、 とことんまで逆上てみましょうよ?
ほんの少しの悪戯心。
どうせ外になんか出る事は無いし、二人で連れ立って歩くなんて、まだまだ遠い。
だからおうちで遊ぼうと誘ってみる。
体から陥落した相手だけど、今は恋人の彼を。
夜だけ奔放になってくれるイルカに、ほんのちょっとの悪戯めいた誘いを掛けてみるのは楽しいかもしれない。
ね、お風呂で遊びましょうか、と。
坪庭を彩る花が、枝垂れ桜から藤に代わり、次にイルカが訪れた時には、ほんのりと紫陽花の紫が見え始めていた。
今日もイルカはカカシの訪れを待って、離れの部屋で庭を眺める。
少し離れて眺めれば、障子を額縁と見立てた、見事な一枚の絵画のようになる庭に、何度目かも判らぬ感嘆の吐息を漏らした。
坪庭と称してはいるが、見える部分が坪庭然としているだけで、そこに植えられている花々、特に樹木の類は、垣根や小さな苔生した石垣の向こうから、絶妙な配置で零れるように庭へと差し込んでいるのだ。
この部屋に居るだけで、四季を感じることが出来てしまう贅沢。
1ヶ月近くの時間をこの場所だけで過ごした名残か、イルカはこの部屋が酷く好きだった。
裸足の足裏に感じる藺草の感触、和風家屋特有の草木の香りが妙に心地良いし、何よりも、この部屋で待てば必ずカカシがイルカの元へとやって来るのだ。
自分はただ待てば良い。
この場所で、庭を眺めて。
とは言え、ここ最近になってからではあるが、この離れ以外の部屋にも、イルカは足を運ぶようになった。
それは台所であったり、居間であったりするのだが、その初めの一歩たる切っ掛けが空腹に耐えかねてだったものだから、その時カカシには複雑な表情をさせてしまった。
目覚めた時にカカシが居らず、寂しかったからというのが本当の理由。
しかし、イルカはそれを告げる気は無かった。
その時のカカシの表情を思い出し、イルカは小さくクスクスと笑う。
障子に軽く寄りかかって座り、縁側に足を崩して投げ出して、庭の様子を眺める。
六月も半ばが過ぎ、北の地にもジメジメとした雨の季節の余波が来ているのだ。
いまだ満開には至らない紫陽花に、霧雨のような雨粒が細かくけぶる様が幻想的で、やはり浮世離れした雰囲気を醸していた。
台風が来るのかもしれない。
イルカは僅かしか見えない切り取られたような空を見上げ、湿度と気温の高さに浴衣の襟を弛める。
いつしか自然とそれを身につけるようになってしまった。
この部屋での部屋着として渡された何枚かの浴衣は、素人の自分でも判る位に生地も仕立も極上で、袖を通す度に肌に直接感じる布の感触が好きだった。
慣れてしまえば下手な洋服よりも断然楽で、イルカはここを訪れると即座に着替えてしまう。
真新しい浴衣は、どうやらカカシがイルカの為だけに購入したものらしく、部屋の端にある低い和箪笥の中には、他にも何枚か納められているのだ。
そして、この部屋に訪れる度に浴衣姿になってしまう自分のせいか、どうにもその枚数が増えているらしいと、先程着替えの際に気付いた。
カカシが自分の為に何かを選んでくれるのは、凄く嬉しい。
たとえそれが脱がす為であっても、イルカが脱がされる事を許しているのだから構わないだろう。
近年週休2日制が当たり前となったお陰で、週末はこの部屋に隠れるのが嬉しい。
カカシとふたり、外界から閉ざされた世界で寄り添えるのが。
目を閉じれば聞こえる足音。
走るに近い速度で足早に近づくそれに、イルカは微笑み態とそちらに背を向ける。
きっと抱き締めてくれるから。
庭を眺めている振りをして、背中に貼り付く体温を待つ。
温もりが触れるその瞬間を、心待ちにしながら。
足音、障子を開ける音、そして背中一面を覆う体温。
途端、イルカの体が緩く弛緩し、安堵にも似た吐息が零れる。
必ずと言って良い位に当たり前となったこの出迎え。
振り返らないイルカを、カカシが背後から抱き締めて囁くのだ。
「いらっしゃい」
「はい」
背中のカカシに寄りかかり、唇へのキスを無言で強請れば、違わず与えられる乾いた感触。
貪るよりは軽く、挨拶よりも濃厚なキスに、互いに暫し酔いしれる。
ちゅっと小さな音を立てて名残惜しくも唇を離せば、知らず僅かに息が上がり、自然と触れた体温に寄り添う。
「カカシさん…浴衣、ありがとうございます」
「あ、気付いてくれました?そろそろ蒸し暑くなって来たから、夏の仕立ても入れて置きましたから」
「…俺に着せても楽しくなんて無いでしょうに…無駄遣いですよ」
嬉しい癖に、ついカカシの金銭感覚に説教じみた言葉を紡いでしまえば、イルカを抱き締める腕の力ががきつくなる。
そしてそのまま強くイルカを引き寄せられ、傾けた首筋にが触れる感触。
「良いの!着るのはイルカ先生だけど、脱がすのはオレだから」
「下心、ですか?」
「衣類を贈る男に、下心が無いなんてあり得ませんね!」
当然、とばかりに断言するカカシに、イルカは耐えきれず声を上げて笑う。
「ふふ、じゃあ…その下心を覚悟しておきますよ」
笑いの余韻で揺れる体を後ろのカカシに擦り寄せ、イルカはクスクスと笑う。
最初の頃に比べれば信じられない程に柔らかく、優しくなったイルカの仕草に、カカシは嬉しくなる。
だってあの頃は、許容はしてもそれだけだったのだから。
触れる事を許し、抱くのを許し、繋がれて閉じこめられる事すら許した。
しかしそこに許しはあっても、求めは存在しなかったのだ。
だが、今はこうして可愛く求めてくれる。
誰でもなく、カカシ自身を。
カカシの首筋に頭を預け、僅かに反った胸元。
単衣の浴衣だからか、元々緩く着付けていたのか、はだけた袷の隙間から平らな胸が覗き見えてしまう。
その平地にぽつんと存在する突起に、視線が釘付けになり、カカシは目の前に位置するイルカの耳朶を軽く噛み、囁く。
「ね…今から下心を出しても良いですか…?」
低く、鼓膜を擽るように滑り込む声と、開いた胸元に差し込まれるカカシの掌。
スルリと平らな胸を撫で、敏感に小さく立ち上がった突起を指先で転がして摘めば、腕に収めたイルカの体が小さく揺れた。
「っ…く、…それを尋ねるのは、無粋でしょう?」
悪戯な光を湛える黒い瞳。
そして意外な程に婀娜っぽい笑みに誘われ、カカシはイルカの体を組み敷いた。
男が意中の相手に贈る衣服を選ぶ際、それを脱がす時を想像するのは、間違いじゃないとカカシは思う。
畳に散らばった強い黒髪を上から眺めてから、イルカの額に、次いで瞼、鼻傷、唇にキスを施し、ゆっくりとした仕草で浴衣の袷を大きく開いた。
まるでプレゼントの包装を紐解くような高揚。
濃紺の浴衣に包まれたイルカの素肌が露わになって行く光景を、眺めて唇の端を吊り上げた。
リボンを解くような気持ちで帯を解き、、カカシは自分の見立てが確かであった事に満足する。
紺色の濃淡は、健康的なイルカの肌を引き立て、良く映える。
前襟を掴んで大きく左右に開けば、イルカの裸体がそこにあった。
この部屋で浴衣や着物に袖を通す際、イルカは下着を身につけない。
「また下着履いて無いし…はしたない」
「はしたない俺は嫌ですか…?」
どこか揶揄を含んだイルカの言葉に、カカシは苦笑するしか無い。
これは何度も繰り返された問答で、その答えはすでに決まっているのにも拘わらず、毎回のように交わしてしまうのだ。
「大好きに決まってるでしょ」
互いに情欲の色を湛えた視線を交わし、当たり前のように重なる唇。
カカシの掌が首筋を揶揄るように辿り、胸を丁寧に愛撫して徐々に下がって行く。
掌が通った軌跡を追って唇が続き、カカシの仕草のひとつひとつに、イルカは小さな声を上げる。
その声は徐々に甘さを増し、いつしかあからさまな嬌声へと変化した。
霧雨がけぶる外界の様子は、最早二人には届かない。
天候のせいか、常ならば障子を閉めろと煩いイルカも、今は意識から外の世界を閉め出し、カカシの与える快楽に溺れている。
開いているけど閉ざされた世界。
外からは見えず、声も漏れないのを良い事に、お互いを貪る二人は、正しく相手しか見えていない状態にもつれ込んだ。
霧雨だった雨は、いつしか本降りになったらしく、情交の熱が蟠る体には少し肌寒い位の風を運んで来る。
カカシはウトウトと微睡むイルカを抱き寄せ、剥き出しの肩に脱がせた浴衣を引っ張り上げ、覆ってやる。
隙間無く触れた体温が安心するのか、カカシの鎖骨を安堵めいたイルカの吐息が擽る。
僅かに開いた唇から覗く白い歯と、赤い舌のコントラストが淫猥で、カカシはイルカの寝顔を眺めながら、吐き出して暫く経った下肢が疼くのを感じて、困ったように笑った。
互いに一回ずつ吐精し、イルカの中にはカカシの精液が掻き出されずに留まっている。
中で固まってしまう前に処理してしまわないと、後でイルカが痛い目に会うのは目に見えているのだが、如何せん気持ち良さそうに微睡むイルカを揺り起こす事は、カカシには出来そうにも無かった。
どうしようかと思案していれば、胸元で身動ぐ気配。
「…ん」
イルカの顔を覗き込めば、ゆっくりと瞼が上がり、イルカの黒い瞳が露わになるのが見えた。
目覚めた瞬間、イルカの黒い目に映るのは自分なのだと、カカシは改めて幸せを噛み締める。
愛しさが募ってイルカを強く抱き締めて頬に口づけしたら、腕の中でイルカが僅かに硬直したのが知れた。
不思議に思って様子を伺えば、伏せた睫が小さく震えるのが見えた。
「…ぁ」
小さな吐息のような、掠れた声。
その抜けるような呻きに、イルカの身に何が起こったのかが理解出来てしまった。
「もしかして…、オレのが出てきちゃってたりする?」
生理的嫌悪ゆえか、肌を戦慄かせるイルカの姿に、申し訳無さが募る。
「ごめんね…中に出しちゃって」
少しでも戦慄くイルカを宥められればと、カカシは鼻筋を横切る傷跡にキスを施す。
「謝らないで…ください。カカシさん、気持ち良かったんでしょう?なら、俺は嬉しいんですから」
「最高に気持ち良かったです」
後腔から粘液が流れ出る感触をやり過ごし、微笑むイルカを抱き締める。
「でも、イルカ先生、オレをあんまり甘やかしちゃダメですよ~」
「?」
「つけあがっちゃうから」
言ってカカシは指をイルカの後ろへと忍ばせる。
「…っ、ぁう…」
尻の丸みを両手で引き寄せるように左右に開き、トロトロにぬかるんだ中へと指を埋め込めば、密着したイルカの体が跳ねる。
「ぃや…カカシさん、止めて…中の、出て来ます…」
「ふふ、一回分だけなのにグチャグチャだ~ね」
「あぁあ…ッ」
埋めた中指をグリっと回転させれば、その指を伝って温く粘度のある液体が手首まで流れて来るのが、感触で判った。
「止めて…せめて風呂場で…っ」
「お風呂場なら良いの?」
イルカの耳元でカカシが意地悪く尋ねれば、腕の中で必死に頷く様が可愛いと思ってしまう。
何よりも、イルカが咎めるのは、カカシの行為ではなく、場所なのだ。
カカシの指の進入を拒まない事実が、この上無く嬉しい。
「せんせ、ここは嫌なの?」
「浴衣…汚します…」
「こんなのいくらでも用意するのに…」
「…俺が嫌なんです」
そんな会話の間もカカシの指はイルカを攻め続け、一本だったそれを、二本、三本と埋め込む。
カカシは挿入した指で内部を探り、イルカの様子を伺う。
決して嫌がってはいない反応に、イルカ自身もカカシと同じく一回だけのセックスでは満足できていないらしい事が伺えた。
不意に、カカシは思いつく。
脳裏に巡ったのは、風呂という単語から始まった連想ゲーム。
それはとても楽しそうで、イルカに誘いをかけてみるのも悪くないと、イルカに埋めた指を中で曲げ、軽く突き上げて、自分の腕の中で跳ねる体を堪能する。
「…は、ぁ…んんッ!」
「ね、イルカ先生、遊びませんか?」
「遊ぶ…?」
「うん、お風呂でオレと。今日は生憎雨ですし、紫陽花の見頃はもう少し先だからね、母屋のお風呂でオレと遊びましょ?」
「あ、ん…指、指、抜いてぇ…」
「抜いたら中の、漏れちゃうよ?」
言って態とグチャグチャと音を立てて穿てば、音がイルカの耳に届いたのか、頬が紅潮するのが判った。
「…ね?」
「うぅ~っ」
「ああ、噛まない噛まない、お風呂までオレが抱っこして連れてきますし、ちゃんと零れないようにしますから」
「零れないようにって…?」
「生憎、その手の道具は持って無いんで…こうやって指を栓の代わりに、ね」
「馬鹿…」
悪態をつきながらもカカシに擦り寄る姿は嫌がっているものでは無く、カカシの誘いに対しては肯定したも同然で。
俄然、カカシは顔が緩んだ。
これから風呂場で繰り広げられるであろう、様々な事が思考を巡り、鼻息が荒くなりはじめるのを必死で押さえる。
「オレの首に両腕回して、しっかりしがみついてね」
「…はい」
従順な仕草で言われた通りにイルカはカカシにしがみ付く。
そしてそれを確認し、カカシは子供を抱っこするかのようにイルカを抱え上げて立ち上がれば、栓と嘯かれて埋めた指に、イルカが顕著に反応する。
母屋までの短い渡り廊下、風呂場までのさして長くない距離を、イルカの噛み締めるような喘ぎが楽しませてくれたのは、言うまでも無いだろう。
離れに比べて随分と広く近代的な浴室が、目の前に広がっている。
母屋に訪れた事は何度かあったが、結局離れで寝泊まりするのだからと、身繕いは全て離れの風呂場で済ませて来ていたのだ。
「………広い」
浴槽も大きいものではあるのだが、何よりも洗い場が異様に広いのだ。
「ん、ワンコを洗うのにね、以前リフォームしたんで、洗い場が大きいんです」
言われて納得する。
カカシの家にはかなりの数の犬が存在する。
彼等は離れに近づく事は殆ど無いが、基本、家の中では放し飼いにされ、雪の降るこの土地では、冬場のシャンプーは外では出来ない。
犬好きにも程があるだろうという金のかけ方に、イルカは少し呆れを覚えたらしいが、それでもしがみついた腕は放さずに、中のカカシの指を時折締め付ける仕草を見せる。
「ちょっと待ってね」
壁際に立てかけられてあった洗い場用のマットを、カカシは行儀悪く足で蹴倒し、その上にイルカを抱えたまま座り込む。
自然、カカシを跨ぐ形になるその体勢に羞恥に身動げば、中に埋められた指が有らぬ所を掠めて、イルカの背中が撓った。
「んあぁ…っ!」
「ああ、ゴメンナサイ、痛かった?」
そのカカシの問いかけに、イルカは赤い顔のまま首を左右に振って否定する。
自分の上げた嬌声が、硬質な風呂場に反響して、妙に恥ずかしいのだ。
「そ?なら良いけど…」
空の浴槽に手を伸ばし、カカシはカランを捻って湯を満たす。
浴槽も含め、浴室自体は洗ってあるらしく、湯が溜まるのを待てばすぐにでも入れるらしい。
カカシの動作をイルカは目で追う。
シャワーフックにかけられたシャワーを手繰り寄せ、そこからもカカシは湯を流す。
自分の腕で温度を試しているらしく、跳ねる水滴の温度から察するに、どうやら随分と低く設定しているらしい。
「温くないですか?」
思わずイルカがそう問いかければ、カカシは口元に笑みを浮かべてイルカを見た。
「多分、温い位で丁度良いと思~うよ」
シャワーノズルを握った手が、イルカの背後へと回され、腰から尻にかけてをぬるま湯程度の湯が跳ねる。
「ん…」
「力抜いててね…指、抜くから」
「…え?ぁ、やぁっ!」
カカシの言葉に疑問を感じた瞬間、中に入り込んで居た指がズルリと半ばまで引き抜かれ、声が上がった。
そして指は完全には抜かれず、粘膜の口を寛げるように広げられ、固定された。
「カ、カシさん、何を…!?」
「ん?中、洗うの」
ハッキリと返された答えがイルカの脳に伝わる前に、広げられた場所に感じたのは逆流する湯の感触。
「んあぁっ!」
「大丈夫?苦しくない?」
何度も仰け反り嫌悪では無い悲鳴を上げるイルカのこめかみに、カカシは唇を押し当てる。
片手でシャワーの角度を固定し、片手で粘膜を広げ、時折指を潜らせて中を掻き出す。
「ひ、ぁ、駄目、止めて…」
必死にカカシにしがみつくイルカが、制止の声を上げるが、密着する体同士、互いの腹に挟まれた性器は緩く立ち上がり、中を満たされる事に慣れたイルカの快楽を示していた。
そんなイルカの嬌態に、否応無くカカシの下肢も立ち上がりの兆しを見せる。
「出ちゃう、出ちゃうからっ!」
悲鳴じみたイルカの声に、カカシはシャワーを放り投げ、ボディソープのボトルを掴む。
「ひゃ!?」
そしてそれを自分たちの間にぶちまけ、無造作に床に投げ捨てた。
ガランと、中身の軽い音が浴室に響き、イルカは暫時我に返った。
カカシの太腿の上から体を見下ろせば、ボディソープの白い液体が互いの体の間を緩く流れる。
何だか別の液体を思い出し、イルカは一人赤面した。
「イルカ先生、動いてみません?」
そう言ってマットの上に仰向けに横たわり、カカシはイルカを見上げる。
「遊ぶってそういう事ですか」
カカシの意図としている遊びを理解し、イルカは呆れた視線をカカシに向ける。
「楽しそうじゃないですか?」
「そりゃあ、まあ…」
確かに、男なら憧れるかもしれない。
だが、女の柔らかい体であるならまだしも、自分の硬い体で、本当に楽しいのだろうかと、イルカは首を傾げて訝しむ。
とりあえずは液状の石鹸を泡立てるべきかと、自分に掛けられたボディソープを体の前面に塗りたくり、次いでカカシの胸や腹に液溜まりを作るそれを、僅かな湯を使って泡立てた。
「嫌だったら拒否して下さい」
下からかかるカカシの声に、イルカは首を振って否定する。
「嫌では無いです…カカシさんが相手なら、ですが。でも…」
「ん?」
「俺の体でやっても、面白く無いと思うんですが」
「何、で?イルカ先生とするから、…っ楽しいんでしょうが」
ソープを塗る仕草に、時折息を乱しながら告げるカカシに、イルカは後押しされる。
泡に塗れたカカシの胸に、ぺたりと自分の胸を密着させ、おずおずと遠慮がちに動いてみた。
徐々に動きを早く激しくし、胸を合わせるよりも下肢を合わせる方が気持ち良いのだと悟り、いつしかイルカは行為に夢中になってしまう。
グチグチと、ボディソープだけでは無い粘着質な音が浴室に響き、それすら興奮を高める材料で。
自分が高まるにつれ、指の抜かれた後腔が疼くのを感じる。
僅かに身を起こして、入れるでは無く粘膜の入り口を、カカシの性器に擦りつけ、まるで自慰みたいだと、熱に浮かされ始めた思考で思う。
「は、あ、あ、んぅ…」
いくら擦りつけても、刺激されるのは表面だけで、腹の奥がカカシを咥え込むのを切望するのを感じ、イルカは完全に立ち上がったカカシの性器を両手で掴み、乱暴に扱く。
「ちょ、イルカせんせ!」
「駄目、まだ出さないで」
「意地悪しないでくださ…」
言いかけた言葉はイルカの唇に吸い取られ、消える。
下肢を刺激されたまま交わされるキスに、絶頂の波がすぐそこまで来てしまう。
腰を震わせ、波に乗ろうとした途端、イルカに根本を捕まれて堰き止められる。
「あ、ちょっと、イルカ先生!?」
「駄目…まだ出しちゃ駄目です…」
「お願い、限界…!」
「出すなら、俺の中にして…」
唇を啄まれながら、強烈で淫靡なお強請りの囁きに、カカシは呆然としてしまう。
と、イルカの腰が持ち上がり、躊躇いを見せずに落とされるのが、カカシの視界に映った。
「あぁ…ッ」
「っく…」
イルカの中に入った途端の射精。
気付けばイルカの腹にも粘液は滴り、どうやら同時に達してしまった事にお互い気付く。
「大丈夫?」
「気持ち良いです…」
「ん、動いて、好きなだけ」
出したばかりの性器は、イルカの中で見る間に育ち、穿つに十分な硬度を取り戻す。
カカシの上で踊るイルカの痴態。カカシはそれを目を細めて堪能し、何度か射精をやり過ごす。
腕を伸ばし、イルカを捉えて引き寄せれば、素直に体を倒して口づけに応える。
どんどん可愛くなる恋人に、カカシは不安も抱えてしまう。
それでも今はこの腕で囲って、数歩先まで近づいている高見を目指そうと、イルカを組み敷き、強く穿った。
【完】
プリントアウトした途端、鞄を引っ掴んでダッシュしました(笑)
タイムリミットギリギリで出来上がったシロモノですとも!
8時28分発のバスに乗るのに、コレが出来たのが朝8時…。
毎回こんなんですよ、私(号泣) 新刊諦めてこの、無料配布を
書き始めたのが前日夜の9時ですから…。