手を伸ばし、指を絡め、引き寄せられて抱きしめられる。
服越しの体温がもどかしく、お互いの着衣を剥ぎ取って素肌同士を密着させる。
重なる胸の、確かな心音。
それにホっと吐息を零し、アナタはオレに縋って口づける。
請われるままに体を開き、足を開き、全てを受け入れ享受する。まるでそこが羊水であるかのように、温かく慈愛に満ちた空間をアナタの為だけに用意する。
触れる、辿る、苛み、抉られ、迸りの滴さえも逃さない。
無邪気に笑い、愛を紡ぐアナタ。
手を伸ばし、オレを求めるその姿。与えるだけ貪り、まだ、もっと、と更に次を強請る。
それはまるで子供のようで、オレはいつしか不安になる。
温かく、裏切らず、際限無く与えて、厄災すらも享受する愛情。
それは母親という存在が、己の子供に持つべき感情。
全てが敵対する空間において、母親のみは子を守る。
アナタ、オレに何を求めているのですか?
いつか、親離れする子供のように、アナタはオレを置いて行くのですか?
夜ごと不安が増殖する。
知らない誰か、アナタの認めた真実の恋人がいつしか現れ、アナタはその手を握ってしまう。
オレはそれを享受するのだろうか。
有り得ないかもしれない。
あり得るかもしれない。
そんな不確定の未来の想定に、声も無く── ただただ涙がこぼれた。
初期の携帯メモから。
このくらいの時期って、一人称を結構書いてる…。