夜凪/エピローグ




晴れてイルカとヤナギを腕に抱く権利を勝ち取り、確かに当初はご満悦だった。
だが、生活が落ち着き冬の寒さも本格的になり始めた頃、カカシは打ち拉がれる事実に直面する。

「えーっと、確かにあのプロポーズには頷きましたけど…俺、男なんで」

サラリと当たり前の事を告げるイルカに、現実を見た気がした。
そのイルカが告げた言葉が、カカシのここ最近の野望を尽く砕いたのだ。

ひとつ、入籍。
ふたつ、ヤナギの親権。

勿論、カカシの野望はこれだけでは無いのだが、直接繋がる大きな部分はこの2つ。
イルカを女扱いした意識は無かったのだが、何となく、カカシはイルカを自分の庇護下、籍に入れたかったのだ。
だって、いくら恋人同士だからと言って、所詮は他人。
今回は、運良く病室に通わせて貰えたが、次はどうなるか判らないのだから。
近しい親族以外は入れない空間に、自分は当然の顔をして入りたい。
それはどちらかと言えば、逆の場合の確立が高いと思う。
機密を抱えすぎているカカシに何かあった時、恋人ではあるが親族では無いイルカは知らされる事は無いだろう。
最期を見取って貰う、もしくは看取る。
それは果てしない夢のような理想の将来だが、今の現状では、せいぜい慰霊碑に名前が刻まれ、死んだ事を知るに等しい。
どちらかに何かがあった時、その知らせを真っ先に受ける存在になりたいと、カカシは思うのだ。
そしてヤナギの片親としての責任を持ちたいとの意味合いを込めて、彼女の戸籍の件をイルカに持ちかければ、嫌そうに眉根が寄せられた。

「…カカシさん、アナタ自分が有名人だって自覚、ありますか?」
「有名…ですか? オレ?」
「少なくとも、手配帳にデータが載る位には」

溜息混じりのイルカの言葉で、鈍いカカシにもその言いたい事が理解が出来た。
間違いなく、危険なのだ。
カカシの遺伝子で作られた子供。
それが他者に知れたなら、その瞬間からヤナギの存在はカカシ本人のデータに不随して様々なものに記載されるだろう。
そして里も放っては置かない。
イルカの体質を聞き出した執務室で、三代目は何と言っていた?
種の情報をそのまま複製する。
そう苦々しく口にしたでは無いかと、カカシは舌打ちした。
流石に後天的能力である写輪眼の遺伝は無い。
だが、元がカカシと同じであるのだ。
自分にこの目が適さなくなった時、もしくは自分が死んだ時、次の宿主として真っ先に名前が挙がってしまう事は、想像に難くなかった。
そして他里に至っては、そのまま拉致して、将来無理矢理孕ませる事だって考えるだろう。
遺伝でどこまで能力が受け継がれるのかは知れないが、可能性は多い程良いのだから。
今のままなら、親しい人間の連れ子で済むのだ。
イルカの保護下に居る限り、カカシの庇護下に置かれるよりは、遙かに危険は少ないのは明白だった。

「…っ!」
「諦めましょうよ、カカシさん…髪も今は黒い方が目立ちませんし」
「でも、勿体ないですよ! こんなに可愛いのに!!」

イルカに諭されても諦めきれず、カカシは意気込んでヤナギの顔を眺める。
そんなカカシの発言に、イルカは少し呆れたように沈黙し、慎重に言葉を紡いだ。

「・・・・・・・・・・ええ、確かに可愛いですけど、あの…」
「何?」
「カカシさん、鏡、見た事ありますよね…?」

困った顔で首を傾げるイルカに、カカシは当然とばかりに頷いた。
その仕草を見て、イルカは深い溜息をつく。

「あのですね、男女の違いで多少柔和に見えますが…」
「はい?」
「自分に瓜二つの顔に、堂々と『可愛い』と言えるアナタが凄いなーなんて」
「…オレ、ナルシストじゃ無いですよ?」
「似たようなもんです。ほら!」

唐突に両脇を掬われ、カカシの眼前へと宙吊りで突き付けられるヤナギ。
何が起きたのか理解できず、キョトンとした目で、首を傾げてカカシを見上げる姿が、幼く可愛いと眦が下がってしまう。
少し重たく感じる二重の瞼と、大きな灰青の瞳。
子供特有のふくふくとした薔薇色の頬は、突きたくなる程魅力的で。
カカシは誘惑に耐えかね、ヤナギの両頬を指先で軽く摘んで引っ張った。

「をを! 伸びる!」
「…何やってんですか、アナタ…」
「わ〜、子供のほっぺって伸びるんですね! 今度ナルト達にもやってみ…」
「やらないで下さい」

冷たくい口調と、胡乱な視線を向けるイルカに、渋々とヤナギの頬を摘んでいた指を解いた。
指先に残る、子供特有のプニプニとした感触に、知らず自分の指先を見下ろして微笑んでしまう。
そんなカカシに、イルカは溜息をつくしか無かった。
元々、カカシがヤナギの事を気に入っているのは気付いていたが、血の繋がりの確証でここまで拍車が掛かるとは、正直想定外で。
娘だという事も、要因の一つなのだろう。
息子だったら、ここまで手放しに可愛がったりはしないだろう。今までのカカシの性質上は。
自分も親馬鹿の自覚はあるが、カカシ程手放し野放しの親馬鹿では無いと、イルカは思う。
それでも、カカシがヤナギを可愛がってくれる姿は、酷く幸せで、嬉しい光景だった。
ずっと、叶わない光景だと、諦めて来たから。

「とにかく! ここまでアナタに似てるんです。今までは離れて居たので気付く人間は居ませんでした。でも、いつ気付かれるか判らないんです…保険は掛けておいた方が得策でしょう?」
「…ぅう…でも、勿体無い…」
「年頃になったら、本人の意思で決めさせようと思ってたんです…それとも、ヤナギの黒髪が似合わないとでも?」

床に降ろしたヤナギの黒髪をサラリと撫で、イルカが困ったように微笑んだ。
染髪剤に染められて尚、指通りの良い上等の髪質。
ふわふわと指先に絡む柔らかく細い髪は、目の前のカカシと同じものだった。

「似合わなくは無いですけど…何で年頃?」

黒髪の今でも十分に可愛いと思えるヤナギの姿にカカシは目を細めるが、イルカの言葉に疑問を感じて質問を返す。
将来、本来の銀色に戻すのなら、今戻しても構わないだろうという意味合いを込めて。
そんなカカシの心情を読みとったのだろう。
イルカは苦笑し、次いで少し淋しげな表情を顔に乗せた。

「誰だって、本気で好きになった人には、本当の自分を見て貰いたいでしょう?」

ヤナギの頭を撫でながら、さして遠くない未来の彼女の姿を想像するかのような視線に、カカシの思考がスパークする。
失念していたのだ。
娘はいつか、家族以外の男を選ぶという事実を。

「嫁になんか、やりませんよッ!!」

思わず言ったその悲鳴じみた叫びに、イルカのカカシを見る目が胡乱気なものになったのも気付かず、カカシはヤナギを抱き締める。

「……それはさて置き」

わざとらしい咳払いがされ、イルカが再びカカシの腕に収まる我が子の髪を梳く。
その柔らかな仕草は、ひどく慈愛に満ちていた。、
イルカはカカシよりもずっと未来を見ている。
刹那主義で生きてきたカカシには、到底真似できないそれ。
それは、自分自身の未来を考えた事が無いからだと、漠然とカカシは感じた。

「この子が忍になるかはまだ判りません。俺としては…なって欲しく無いのが正直な気持ちです」
「うん」
「でも、特殊な環境下で生まれてしまったから…自分を守る術は、身につけておいて損は無いんですよねぇ」
「ああ、確かに」

子供を兵器に仕立て上げたい親は、あまり存在しないだろう。
血継限界を宿す家の子供は、自動的に忍への道を余儀なくされる。それ意外の子供は決して強制されるものでは無いのだ。
この里の子供は、自分の親を、そして里の忍を見て育ち、進路を決める。
自里大人を見て育った彼らは、忍の理など知らずに憧れ、アカデミーへと足を踏み入れるのだ。
だから、親が忍だとしても、その子供が必ず同職に就くとは限らない。
選択はあくまでも子供本人が行う。
それが、木の葉隠れの里の考え方だった。
しかし、ヤナギの立場は公になってしまえばかなりに危険で。
幼い今から、身を守る術を身につけて置いて損は無い事は、カカシも頷ける。
頷いて初めて、イルカの葛藤を理解した自分に、情けないものを感じたが。

「複雑なんですよ、俺だって」

唸るように俯いたカカシに、イルカが苦笑しながら白状する。
カカシを受け入れたが為に、今まで守って来たものを危険に晒す事となったのだ。
その葛藤は、今感じているカカシの葛藤の比ではないだろう。

「…更に複雑にしてゴメンナサイ」
「アナタが謝るような事では…元は俺が悪いんですし」
「いえ、感謝してます。オレの子供を産んでくれた事に、そしてイルカ先生が生きて居てくれた事に…何より、オレの手を取ってくれた事に」
「カカシさん…」

すぐ横に座るイルカの手を取り、カカシはその掌に口付ける。
少し節のある、乾いた指先にも。
たったそれだけの行為。
だが、確実に火は灯された。
カカシの唇が触れた箇所から、じんわりとした熱が体を浸食しはじめる。
ウトウトしかけたヤナギをカカシが促し、布団へと潜らせ、イルカもその隣へと入り込んだ。
ヤナギの寝息が小さく響いた途端、子供を挟んだカカシがイルカへと手を伸ばす。
躊躇いと、葛藤と、それでも鎮火しない火を持て余し、心持ち熱を持った吐息がイルカの咽から零れ出た。
それを合図に、時間が染まる。
ここから先は、大人の時間と。



カカシに抱き込まれ、恐らく朝になったら間にヤナギが挟まるんだろうなと、眠りかけた思考で考えながら、イルカはたゆとうような感覚で瞼を閉じる。
背中と腰を抱く腕の存在に、幸せを感じながら。
だが、イルカはこの時知らなかった。
水面下でカカシが、着実に既成事実めいた計画を進めていた事など。
手始めはまず、カカシ本人の遺産受取人欄の署名からだった。
今まで空欄であったそこに、イルカの名前が書き込まれたのだ。
元々、季節を一巡するに近い期間、カカシはイルカと共に過ごした。
里内でも憚る事無く、2人、もしくは3人で歩き、イルカの入院中は日中ヤナギを常に連れて動いていた為、子連れ上忍の有り難くない名称を付けられてしまう程に、イルカとの関係は周りに知れ渡って居たのだ。
そこまでなら、友人、ないしは恋人と言う立場に位置づけられるのは明らかで。
しかし、更に遺産受取人の指名が上乗せされると、イルカの立場は一気に「家族」・「配偶者」扱いになってしまうのだ。
遺産受取人の確認を受けた時のイルカの心境を、誰が理解してくれるだろうか。
確かに、戸籍は元のまま。
ヤナギの存在もイルカの保護下にあり、彼女の立場は変わらない。
しかし、これでは…。



「入籍したも、同じじゃないですか…ッ!」
「事実婚ってヤツだ〜よね」

寒い季節はゆっくりと去り、緑が芽吹く季節を迎えた中、三人は連れだって散歩がてらに里郊外に近い場所を、綻び始めた木花を眺めながら歩いていた。
真ん中を歩くヤナギの歩調に合わせながら、のんびりと。
梅の季節が終わり、次いで桃が後を引き継ぐかのように蕾を膨らませ、愛らしい色を覗かせるのを眺め、たまに立ち止まって季節を感じる。
遅い昼食を食べた商店街から少し歩けば、屋根が犇めかない程度の閑静な住宅地があった。
それぞれの庭木は手入れがきちんと施され、自然のものよりも花の膨らみが早く見える。
垣根越しに見えるそれらを眺めながら、カカシは真っ直ぐにイルカを見つめ、当たり前のように言う。

「だって、アナタは自分の身は守れる人でしょう?」

女のナリをしていた時に一度だけ見た事がある、戦うイルカの姿、否、気配。
中忍にしておくには勿体無い程の、技量と度胸。
そしてそれだけではなく、ずっとカカシは思っていた。
ヤナギを抱える前も、きっとイルカは一人で生きて来たのだろう。
長くは無いが、短くもない時間をイルカと過ごした自負。
その自負を持ってしても、イルカの中には曲げられない信念や理想がある事を、カカシは知っていた。
頑固で、融通の利かない男。
技量と信念を併せ持つ彼は、きっと自分の身は守れるのだ。
わざわざカカシの庇護下に置かなくても。

「……そのつもりで、今まで生きて来ました」
「ね、なら…もう1個、オレのワガママ聞いてよイルカ先生」

強請るように言い、カカシはふたりを促して歩き出す。
隣との距離が程良い空いた住宅の配置に、イルカはこの辺りに住む人間の質を垣間見る。
何かがあれば駆けつけられる。だけど、私事では決して家を覗かない。
徹底した線引きを感じさせる微妙な配置に、ここが上忍が多く住む場所であると理解した。
カカシに何の意図があるのか判らないが、イルカは先程の強請るような発言に対し、どこか諦めにも似た感覚で頷いた。

「…俺が聞ける事なら。ここまで来たら腹、括ります」
「漢前な先生も好きですよ〜。はい、ココ」

言ってカカシは注意を促すように、空いた片手で先を示した。
カカシの指が示す方向には、家が一軒。
門構えや庭の設えは他の住宅に比べて幾分大人し目だが、垣根や木々が巧妙に中を隠す構造に、イルカは少し嫌な予感を感じる。
簡素な門扉を潜って中へと足を踏み入れれば、やたらと広い庭と縁側を備えた昔ながらの家が建っていた。

「…………まさか…」
「買いました。一括で」
「な…ッ!?」

カカシは足下のヤナギを抱き上げ、イルカへと手を差し伸べる。
それはまるで、あの日を踏襲しているかのようで、イルカは少し気恥ずかしくなった。
だが、その手を取るよりも、目の前にあるものの方に思考は占められる。
そんなイルカの手を承諾無しに掬い上げ、カカシは手を繋ぎ歩き出す。
玄関らしき戸を開けば、見た目の古さからは想像出来ない程、滑らかに扉は横へと開いた。

「家族に、なりませんか?」

玄関に足を踏み入れるなり、カカシはイルカを振り返り言う。
ひんやりとした石造りの土間に埃の気配は無く、多分家の中も綺麗にされているのだろうと予測できた。
すぐにでも住めるように。

「…え?」
「イルカ先生…オレと家族になりませんか?」
「か、ぞく…?」

言われた内容を反芻し、今のままでは駄目なのだろうかと、イルカは脳裏でチラリと考えるが、それが顔に出たのだろう、カカシが困ったように笑う気配がした。

「今のままでも構わないんですけどね…それだと、オレが寂しいです」
「カカシさん…」
「この家を買ったのは…オレが入れ物が欲しかったから。家族って存在の入れ物が」
「入れ物…」
「あのアパートでも良いんですけどね、その…たまに困りませんか?」

カカシの言おうとしている事を察し、イルカの頬が顕著に赤く染まる。
確かに困る。
夜が。
毎回結界を張る訳にも行かないし、イルカ自身慣れてしまったせいか、声を殺すのが難しくなって来ているのだ。
だからと言って、そんな事の為に。
そんな思いが表に出たのか、カカシが肩を竦めて困ったように笑う。

「そればっかりじゃ無いで〜すよ。ヤナギがもう少し成長したら、3人並んで川の字は流石に拙いでしょう?」

その発言には、迷い無くイルカは頷く。
数年したら、手狭でも部屋数のある所へ、引っ越さなければならないだろうと考えていたから。
それが早まっただけと考えるには、イルカの頭は頑固に出来ていた。

「家賃…」
「家賃なんか入れないで下さいよ? オレが勝手にした事なんだから」
「でも…」

「ここで、オレの知らなかった年数以上の思い出を、一緒に作って?」

狡いと、カカシは自分でも思う。
こう言えばイルカは黙ってしまうだろう事を理解して、言ったのだから。
でも、その言葉に嘘は無く、本当にそう思ったのだ。
カカシの思惑通り、イルカは少し逡巡した後、しっかりと頷いてくれた。
ゴメンネ、そう心で謝りながらも、これだけは譲れないとカカシは決めていたのだ。
その為に、場所を吟味し、周りを固め、少し離れては居るが隣近所は、カカシが認めた者達の家々のここを選んだ。
古い家屋を買い取り、使い勝手が良いように手を入れさせ、3人でここを訪れる時を今か今かと計っていたのだ。
この家に、イルカとヤナギが居る。
家を購入して以降何度も想像をしてみたそれが、現実になり、、泣きそうな程にカカシは感動した。

「すぐにでも住めそうですね」
「うん、荷物を運べばすぐにでも」
「…ちょっとアカデミーが遠くなっちゃいますね」
「う〜、その辺は…ゴメンナサイです」

家の中に上がり、1階と少し手狭な2階を眺めて回る。
板張りの廊下はきちんと磨かれ、手入れがなされた痕跡を残していた。
家の規模としては、一戸建てとして考えるなら少し大きいくらい。

「…掃除、大変そうですね…」
「うう…重ねてゴメンナサイです…オレもきちんと手伝いますから!」

勢い込んで言えば、クスクスと笑うイルカの姿に、胸が軽くなる。
この家を管理する事を厭うてる訳ではなく、ただカカシに対する牽制のようなものだと知れて。

「庭がね、広いんですよ。この家」
「庭?」
「犬達を放そうと思いまして」

成る程と、イルカが頷く。
そして次の瞬間、可笑しげに笑い、カカシを見上げ言った。

「一戸建てに、庭に犬、ですか…これで白いカーテンでもあれば…」
「独身男の夢見る、理想の家。ですね」

意図として作った空間では無かったが、イルカの言う言葉に笑うしかなかった。
今時、空想小説の中にも登場しない、懐古的な家庭の描写がカカシの頭を過ぎる。

「良いじゃないですか! カーテン、白にしましょうか?」

大らかにカカシの背中を叩くイルカの手に、更に笑いが込み上げるのが否めない。
お互いに笑いながらも、家の中全ての間取りを確認し、3人は早々にイルカのアパートへと引き上げる。
引っ越しの算段と、荷造りを始める為に。



もうすぐカカシにとって、這い蹲ってでも帰るべき場所が出来る。
今までだってそうだったが、それよりも更に、自覚と責任を伴った、帰るべき家が。
里へ帰るのではなく、家へ帰る。
それは、ずっと憧れていたものだったかもしれないと、カカシは今は無人の家を振り返り、思った。
腕を無くしても、足を無くしても、待っている人の存在する場所へ帰る。
そして、ヤナギの成長を楽しみ、時に困惑してイルカと共に人生を過ごすのだ。

全てに感謝を捧げたい。

イルカと出会った事も、孕む体を持っていた事も、そして再会も。
それら全ての偶然を手繰り寄せた、目に見えない何かにも。
全てに感謝して止まないと、カカシは思った。

---- 【完】

文章目次

最後までお付き合い下さり、有り難う御座いました!
ラスト、お待たせした割にショボショボでスミマセンです…。
ハッピーエンド、ハッピーエンドと唱えながら、
頭の中で画像を巡らせ、こんな結果になりました。
エピローグというよりも、余談ですね。
どんどんどんどん、カカシ先生が親馬鹿になり、
ヘタレになり…読んだ方、後悔してませんか?
10歳越える迄、きっと川の字は習慣だと思ったり。
これで、「夜凪」は終わりです。いろいろ納得行かなくても(笑)