夜凪/10




夕暮れの病室は、窓から入った陽光でオレンジに染まっていた。
眠るイルカに近付いて、カカシはその顔を上から覗き込む。
雪の中で見付けた時、白とさえ言ってしまえる顔色に心臓が引き絞られるような感覚を味わったが、今はほんのりと赤みが戻り、その事実にほっと息をつく。
今は閉じられた瞼が、寂しいと思った。
自分を捕らえた、黒い瞳が見えなくて。
それでも規則正しく上下する胸に安堵して、額にかかる前髪を掻き上げ唇を落とす。
体から機器へと繋がれたチューブの数々が痛々しい。

「早く良くなって、イルカせんせ…ヤナギと二人で待ってるから」

薬で眠るイルカに、カカシは囁く。
唇にキスをしたいけれど、酸素マスクが邪魔をする。
邪魔なそれを取り外したい気持ちになったが、イルカの回復に必要なものだと思い出し、流石に思い留まる。
唇に触れられないのは寂しいけれど、それでも体温のある体には触れられるのだ。
カカシは再びイルカの額に口付け、瞼にもキスを落とす。
この瞳が、自分を映す日が待ち遠しいと。








イルカの怪我の原因となった、任務の代行。
どうも依頼された任務自体が焦臭いと、火影が呟いたのを聞いた。
イルカを良く思わない人間は、実は少なくないのだ。
それは里長の過剰な信頼だったり、狐を宿す子供への慈愛だったりで様々だが、その妬みの中に自分の名前があり、カカシは正直驚いた。
曰く、上忍と親しくする、身の程知らずの中忍。
妬心も過ぎれば害となる。
世の中馬鹿が多すぎると、カカシは舌打ちをする。
まさか自分の行動がイルカに害を及ぼすなど、考えつかなかったのだから。
だが、どう贔屓目に見てもやりすぎだろう。今回の騒動は。
任務の詐称に、同胞殺害未遂。
事は公にはされず、間を置かず里から何人かの忍が消えるのだろう。
処刑されるのか、前線へ飛ばされるのかは知れない。
だが、里も人員は無駄する程甘くは無いだろうから、恐らくは後者。
火影の判断に口を出すつもりは全く無かったが、経過を告げられた折り、不穏な気配が漏らした自分に、手を出すなと呆れ混じりに念押しされてしまった。
思い出しても、腹の辺りから怒りによる不快感が込み上げる。
そんなカカシを、イルカが困ったような表情で見上げた。

「…あの、どうかしましたか…?」
「いえ、ちょっと嫌な事思い出して…あ、イルカ先生、荷物はオレが持ちますよ」
「え、でも…」
「良いから!」

意識がはっきりとしてから、イルカの回復は早かった。
元々基礎体力があったのだろう。数日で自力で立ち上がり歩くまでになったのには、流石に驚いたが。
カテーテルを外されたのを聞いた時、内心下の世話までしようと覚悟していただけに、少し拍子抜けしたのはカカシだけの秘密だ。
それからは1日毎に、体から伸びるチューブが目に見えて減り、その様子にカカシは安堵の息を吐いたのだ。
ああ、また怒りを思い出してしまう。
安堵の息を吐く度に込み上げる、イルカを手に掛けた人物に対しての怒り。
あの夜、カカシとヤナギが迎えに行かなければ、イルカは確実に死んでいたのだ。
自分達、そして雪が降る程に下がった気温──急激に下がった気温のお陰で、放置された時間の割に出血が少なかった。翌朝まで放って置かれたら凍死一直線だったらしいが。
運が良かったとしか思えない。
そして何より、見付けたのがカカシでなければ、任務中の不運な事故で片付けられたであろう事が、怒りを増長させるのだ。

「何か…不機嫌ですか、カカシ先生?」
「い〜え! 待ちに待ったアナタの退院だってのに、ご機嫌で〜すよ」
「不穏なチャクラが駄々漏れなんですが…」
「気のせいです」
「そ、そうですか」

イルカが首を傾げて納得してないのは見えたが、カカシは態とらしくも誤魔化す。
言葉にもしたが、待ちに待ったイルカの退院日なのだ。
病室に訪れる度に、甲斐甲斐しく汚れ物や不要な物をこまめに持ち帰っていた為、今の荷物は小さなバッグひとつ分。
それをイルカから強引に取り上げ、カカシはイルカの横に立った。

「も〜、寂しくて寂しくて」
「何、言ってるんですか、もう」
「やっぱり二人だけだと寂しかったよね、ヤナギ?」

イルカの足に抱き付いているヤナギに同意を促せば、コクンと大きく頷く。
そしてズボンに皺が出来る程、強くイルカにしがみ付いた。
染められた黒髪を掻き混ぜ、イルカは目を眇める。

「さ、帰りましょ?」
「はい」

促して扉を開けば、イルカがヤナギの手を引いて病室を出る。
カカシは扉を閉める際、一度室内を振り返った。
オレンジ色に染まる、白い小部屋。
無人のそこは、温かい色に染まっても尚、寂しさが付きまとうのは何故だろうか。
人の生と死が、凝縮して詰め込まれた空間だからだろうかと思いながらも、その考えをすぐに打ち消す。
この無機質な空間じゃなくても、生と死の境界はどこにでも転がっている。
それを自分は知っているのだから。



全ての手続きを済ませて病院を出れば、夕陽は山間に大きな体を半分以上沈め、路上に3人分の長い影が伸びる。
ヤナギを間に挟んで手を繋ぐ。
まるで幸せな家族の光景。
カカシは温かいものを胸に感じながら横を歩くイルカを見れば、微笑んでいるのに、その目は何故か潤んでいた。
泣きたいのを我慢している。
その涙はどんな感情によるものなのか、カカシには判断がつかなかったが、それでも悲しみでなければ良いと思う。
お互いの間を子供の歩調で歩くヤナギを抱き上げ、カカシはイルカの手を直接取り、握る。
途端、弾かれたようにイルカがカカシを見上げた。
目線1つ分の身長差。
僅かに見上げる黒い瞳に自分が映っているのを目にし、カカシは知らず微笑む。
そして握った手に少し力を込めた。
ゆっくりと歩き出せば、片腕に抱えたヤナギが首に細い腕を回してしがみ付く感触。
それすら嬉しくて、カカシは肩口のヤナギへと頬を擦り寄せた。

「三代目から聞いちゃいました…」
「…え?」
「イルカ先生の体の事」
「っ!?」

ビクリと体を揺らし、立ち止まるイルカに苦笑し、カカシは繋いだ手を軽く引く。
夕暮れの路地、オレンジの染まる光景の中を歩く。
一人だと寂しいけど、二人だと嬉しくて、三人だと幸せなのはどうしてだろうか。

「イルカ先生、あの時のくの一だったんだ…」
「…」
「どうして黙ってたの?」
「そ、れは…」
「あ、誤魔化してもダ〜メですよ、三代目からウラ取れてますんで」

言った途端、イルカの足が止まり俯いてしまう。
イルカが退院する今日まで、この話題には触れずに接してきたのだ。
そして自分の態度も変わっていなかっただろうと、カカシは自負できる。
だからイルカに取っては唐突に突き付けられた、混乱の源。
恐らく彼の頭の中は、様々な言葉が巡っているのだろう。そしてそれを言葉に出来ない様子が、カカシへと伝わり、思わず笑ってしまう。
繋いだ手が、小さく震える様が酷く愛おしい。
頑なにヤナギを産もうとした過去のイルカ、そして今現在のイルカの情が感じられて。
だって、彼は恐れてくれている。
この事実によって、カカシを失う事を。

「あのね、イルカ先生」
「…はい」
「オレの言い分、聞いてくれる?」

ほんの少しだけ背を屈めれば、覗き込む形で黒い目と視線が絡む。
涙が浮かんだ眦を、素早く口布を降ろした唇で悪戯に吸えば、瞠目する姿が可愛いと思ってしまう。

「オレはあの時、あのくの一を人生の伴侶にと思いました」
「…な、…?」
「里に戻ったら探し出して、探し出せたら一緒になって貰おうと思ったんです」
「あれ、は…戦場での…」
「うん、普通はそう思うよね、でも、オレはそれ位にあの女が欲しかったの」

カカシの話を聞きながら再度俯いてしまうイルカ。
相変わらず繋いだ手は小刻みに震え、そこに隠る感情が自分の望むものであれば良いと、カカシは祈る。
緊張で汗ばむ掌の感触を名残惜しいと感じながら、カカシはそっと繋いだ手を放し、イルカのへと体ごと向き直り、俯いた顔を覗き込む。

「で、里に帰って探したら…影も形も無い訳」
「…はい」
「三代目手ずからの隠蔽とは思いも寄りませんでしたが、あの時のオレの落胆振りったらもー、荒れた荒れた」
「…ごめんなさい…」
「終わってしまった事を謝って貰ってもしょうがないけどねぇ…でも、人生何が起こるか判らないもんで…」
「…」
「また、アナタに出会った」

知らず弾むように柔らかな声が出た。
その声のせいか、イルカが顔を上げてぼんやりとカカシを見つめる。
瞬きした瞬間、涙が溢れ滑らかな頬に一筋流れた。
涙で潤んだ黒い目。
カカシは真っ直ぐに視線を合わせてそれを見つめ返し、はっきりと告げる。

「会って、惹かれて、好きになりました」

告げた途端、イルカがヒュっと息を飲む音が聞こえ、カカシの笑みは深くなる。
長い睫が震えると涙の雫が弾かれ、小さな水滴が落ちた。
イルカの頬を流れるそれを指先で拭い、唇を噛み締めて嗚咽を堪えるイルカの頬を、そっと片手で包んだ。
そして真摯な言葉を重ねる。
視線を逸らさず、これが自分の気持ちなのだと、言葉に力を込めて。

「同じ相手を、間違えずに好きになりました。夜の凪ぎの目を持つアナタを」

ビクリと大きく体を震わせ、何度も瞬きを繰り返し、信じられないものを見るかのようにカカシを見るイルカの目。
瞼が動くに連れ水滴が睫から散る様が綺麗だとカカシは思う。
それが、自分を思っての涙ならば、最高なのに。
頬を包んだ掌に、イルカの涙が溜まる。
じっとイルカの様子を伺えば、きつく噛んだ唇を解放し、何かを言いたげに開かれ、また閉じられる。
頬を包む手で親指を浮かせて眦に溜まる涙をカカシが拭ってやれば、水を滴らせた睫が戦慄いて震えるのが間近で見えた。

「もう遅いですか、イルカ先生…?」
「な、んで…」

掠れた声が小さく紡がれ、カカシはその続きを頬を柔らかく撫でて促す。
濡れた頬は冬の寒風に少し赤く染まり、それが可哀想でせめてと思って、もう一度涙を拭ってやる。
目の前の唇からは、嗚咽のような音。
俯き加減で目を閉じたイルカの姿。

「せんせ?」

再度促しの意味を込めてイルカを呼べば、濡れた目がカカシを見据える。
怒っているようにも見える、困惑の表情で。

「何で…ッ!? 何で俺なんかを好きって言えるんですか!?」
「何でって言われても、好きなものは好きとしか言いようが無いし、オレがアナタを愛してしまった事実は変わらない」
「な…!」

叩き付けるように言うイルカの言葉。
それに答えるカカシは、自分の中で結論付けた内容を、静かに告げる。
確かに色々考えたし、様々な事が頭の中で混ざり合い飽和した。
だが結局、自分がイルカを好きだと言う気持ちは無くならない所か、募っていくのだ。
特に病室で眠るイルカを見舞う度に、生きている事に感謝した。

「だって! 俺は勝手にこの子を産んだんですよ、あなたに嫌われる行為をしたのに、何で…っ!?」
「うん、オレ種馬扱いですもんね…イルカ先生じゃなかったら、怒ってます」
「アナタは俺を罵倒しても良いんですよ、それを…どうして…」

どうして、どうしてとイルカは繰り返す。
男の立場として考えれば、そうかもしれない。
イルカもまた、男なのだから。
里に長く常駐し、世の女達── 特にくの一達── の打算的な姿を見てきたのだろう。
それに相当する行為をしたのだという自覚も伴い、イルカはカカシの言葉を受け取れないのだ。
何よりも、長く騙していた罪悪感が、心の表面を覆ってしまっていて。
そんなイルカの様子に、カカシは困ったように笑い、イルカの頬に触れていた手を放す。
頑ななイルカを納得させる為に。

「種を取られた事もほんの少しだけ怒りと言うか…悲しみ、かな…を感じますが、その事に関して、アナタに償いを求めても良いですか?」
「つぐない…?」
「はい、今まで知らされなかったオレに対しての償いです」

顔を覗き込む為に屈めていた身を起こし、カカシはヤナギを抱え直す。
そしてイルカの罪悪感につけ込む言葉を、投げかけた。
案の定、カカシの姿を目で追ったイルカは、弾かれたように頷き、その言葉に縋る。

「お、俺に出来る事であるなら…します…償いを」

幾分か治まったらしい涙を拳で拭い、イルカはカカシを見つめる。
そんな様子に苦笑しながらも、カカシは首にしがみつくヤナギの心配そうな視線に気付いた。
大人二人が自分の判らない言葉を交わし、ましてやイルカは泣いているのだ。
カカシは腕に抱えたヤナギに笑いかけ、頭を撫でてやる。
大丈夫だから。
イルカを苛めている訳ではないからと、意味を込めて。
カカシの視線が物語るものを理解したのか、ヤナギは大人しくカカシの首に縋る。
その仕草にカカシは、後は大人同士の問題だと、後押しされたような気がした。
子供の方が理解が早いのはどうしてか、思わず溜息をつきそうになるが、ここからが正念場だと、カカシは気を引き締め、イルカへと向き直る。
望むものが手に入るまで、後一歩なのだ。
なるべく穏やかな声を心がけ、カカシはイルカを陥落させる為の言葉を紡いだ。

「アナタを…ヤナギの存在も含めて、これから先の時間をオレに下さい」

それがカカシがイルカに求める唯一のもの。
共に生きたい。
それが例えそれが一瞬でも。
カカシが望むのは人生の伴侶。
それだけなのだから。

「…は?」

緊張して答えを待つカカシの耳に、イルカの発したらしい間抜けな声。
恐らく覚悟していた何かとは違う言葉を、カカシに言われたせいだろう。
丸く見開かれた黒い目が、カカシを見つめ問いかける。
一体、何を言うのかと。
その眼差しに困りながらも、カカシは再度噛み砕いてイルカに言葉を捧げる。
これから先、イルカ以外の人間に告げる事の無い想いを。

「今まで一緒に居られなかった分、それ以上の時間を…イルカ先生の残りの人生、全部オレに下さい」
「え…」

目玉が零れ落ちるのではと心配する程に目を見開き、イルカが硬直する。
唖然とした面持ちで見上げられ、カカシは少し居た溜まれ無くなった。
双方共に無言になってしまい、二人の間に沈黙が落ちる。
それが、一拍、二拍と重なる内に、どうにも不安に駆られ、カカシはイルカを伺うようにそっと呟く。
情けないなと思いながらも、確認せずにはいられなかった。

「あの、イルカ先生…一応オレ、プロポーズしてるんですけど…?」

途端、イルカの顔が驚愕に彩られる。
流れる沈黙の質から何となく予想はしていたが、やはりカカシの言葉の意味は、イルカにきちんと伝わっていなかったらしい。

「ええええぇぇッ!?」

乾燥した路上に響き渡る、イルカの絶叫。
人通りが無くて良かったと思う自分は間違っていないと、カカシは内心息を付く。

「ね、ダメですか?」
「ダメって…それが償いなんですか…?」
「うん。オレに対して抱いてる気持ちが罪悪感でも構いません…だから」

やっと正確に把握したらしいイルカの様子。
カカシはヤナギを抱える腕とは逆の手を、イルカの前へと差し出し、掌を上に向けた。
沢山の人を殺した手。
それでも温もりを求める掌。
この手をイルカに取って欲しいと、流されてでは無く、自らの意志で。
同じ職業柄、流石に意味の取り違えはしないだろうイルカに向けて、カカシは手を差し出す。

「この手を取って?」

差し出されたカカシの掌。イルカはそれを眺めて、泣き笑いの顔をする。
ゆっくりと持ち上げられるイルカの手の温もりを、カカシはじっと待った。
躊躇い、戸惑い、そして罪悪感。
カカシの掌に触れる寸前で止まる、空気を介して知れるイルカの指先の震え。

「……良いんでしょうか、アナタの手を取っても」
「オレが求めているんですから、構わないでしょう?」

そしてやっと重ねられる掌。
カカシはそれをぎゅっと握り、感触と体温を噛み締める。
やっと手に入れた存在。
重ねた手を持ち上げ、カカシが荒れた指先に口吻をすれば、イルカの頬に再び涙が流れた。
涙腺が壊れたように本格的に泣き出すイルカを引き寄せ、眦を舌先で拭えば、眦を染めた濡れた視線がカカシを見つめた。

「罪悪感は…確かにありました。でも…それは…」
「うん?」
「カカシ先生の事を好きだから、です。騙した俺がアナタの好意を貰ってしまっても良いんでしょうか…?」
「オレが良いって言ってるんですから」
「…」
「だからね、一緒に幸せになりましょ?」
「う…」
「ほら、泣かない泣かない、これ以上無泣くんなら、ちゅーしますよ」
「何言って…んっ」

イルカが押しのけようと腕を突っ張る前に、その唇を奪う。
重ねて表面を吸うだけの可愛らしいキス。
唇を離してイルカを見れば、頬を赤くしてカカシを睨み付けていた。
しかし押しのけようとはしない事に嬉しさを覚え、もう一度唇にキスを送る。
繋いだままの掌からは、確かな温もり。
しっかりと握ったそれを僅かに振って帰途を促せば、イルカは照れて俯き、それでも足を動かした。

「ね、帰りましょ?」
「………はい」
「帰ったら…色んな話をしようね、今までの事、これからの事」
「はい」

涙声で返事をするイルカから、鼻水を啜る音が聞こえたが、カカシは苦笑しつつあえて聞かないフリをする。
冬の乾燥した風に吹かれながらも、温かい空間を手に入れた。
イルカと繋いだ手。
腕に抱いた幼い温もり。
泣いたイルカをどう思ったのか、ヤナギが身を捩ってカカシの腕から飛び降り、イルカに縋る。

「苛められた?」
「…違うよ、大丈夫」

足下に縋るヤナギの頭を撫で、イルカは笑う。
そしてまた、子供を挟んで手を繋ぐのだ。
夕陽はもう姿を落とし、気温が急激に下がる気配を見せる。
それでもこの手が繋がっている限り、この帰り道を温かいと思ってしまう。
そしてこれから先、この温かさを失わぬよう自分は努めるのだろうと、カカシは思う。



残りの人生を楽しみだと思ったのは、初めてだった。
ただ生きてきた今までを振り返り、カカシは目を眇めて懐かしく思う。
こんな幸せがあるのなら、自分の今までは無駄では無かったと頷いて。

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文章目次

夜凪9の反応が薄くて、正直筆が進みませんでした(笑)
予想はしてました。説明の回ですから。
ま、10(今回)がラストだし!と開き直り、打ち込み。
時間かかった割にショボくてすんません…(涙)